外国人材の受け入れ制度として注目されている「特定技能」と「技能実習制度」。この2つは在留資格制度として性質が異なりますが、いずれも退職時には企業側・登録支援機関側・本人側に明確な手続き義務が課されており、対応の遅れや不備が在留継続に影響するリスクもあります。
本記事では、技能実習生や特定技能人材が退職する場合の手続きをまとめ、登録支援機関として対応すべきポイントを整理します。
外国人材が退職に至る理由はさまざまです。代表的な理由には以下が挙げられます。
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・家族の事情や帰国希望
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・契約期間満了(技能実習3年/5年、特定技能1号:5年)
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・職場環境や待遇面の不満
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・転職希望(※特定技能のみ)
↳ 特定技能は条件付きで転職が可能な一方、技能実習制度では原則転職ができないため、退職に伴う扱いが制度ごとに異なる点に注意が必要です。
技能実習・特定技能のどちらにおいても、企業や支援機関には以下のような実務対応が求められます。
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・雇用保険資格喪失届(ハローワーク)
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・離職票の交付(希望者のみ)
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・健康保険・厚生年金の喪失届(年金事務所)
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・源泉徴収票の発行と住民税精算
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・「契約終了届」(雇用主または登録支援機関が14日以内に提出)
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・本人による「所属機関変更届出書」の提出(退職後14日以内)
特定技能の場合、登録支援機関には退職後も一定の支援義務が残ります。
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・次の転職先(同一分野)への移行支援
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・生活サポートの継続(住居・口座・ライフライン)
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・脱退一時金(年金)の案内
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・帰国希望者への送還手続き支援
比較項目 | 技能実習制度 | 特定技能制度 |
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転職の可否 | 原則不可(例外あり) | 条件付きで可能 |
支援者の役割 | 監理団体 | 登録支援機関 |
契約終了時の報告義務 | あり(監理団体経由) | あり(登録支援機関) |
帰国支援 | 原則帰国 | 転職 or 帰国選択 |
近年では、採用から退職、再就職までを一貫して支援できる体制を持つ登録支援機関のニーズが高まっています。
特に、特定技能紹介や登録支援機能を兼ね備えた一体型サービスを活用することで、退職後の空白期間を最小限に抑えることができます。
🔹 技能実習・特定技能人材の退職時は、社会保険・税・入管への届出など複数の対応が必要です。
🔹 特定技能人材には、登録支援機関による退職後の支援継続が求められます。
🔹 転職希望者の支援には、登録支援機関と人材紹介会社の連携体制が重要です。
🔹 制度ごとの違いを正しく理解し、退職後の対応も含めた“受け入れ体制”を整えることが、外国人材の安定就労・定着に直結します。