2025.6.10

特定技能外国人の採用方法と登録支援機関・紹介会社の正しい活用ポイント

人手不足に悩む企業にとって、外国人材の雇用は重要な選択肢の一つです。中でも「特定技能」制度は、即戦力となる人材を受け入れる仕組みとして注目されています。
今回は、2025年制度改正の最新情報を踏まえ、登録支援機関との請負契約、紹介会社の活用方法、実務動向を網羅し、採用成功に必要な基礎知識と実務のポイントをわかりやすく解説します。


■特定技能制度とは?

特定技能は、2019年に創設された在留資格で、16の産業分野で人手不足に対応するための制度です。

一定の技能と日本語能力を有する外国人材が対象で、介護・外食・建設・農業など多様な業種での受け入れが可能です。特定技能1号(最長5年)と2号(期間制限なし)があります。


■2025年の制度改正ポイント(2025年4月施行)

最新の制度改正では、以下のような変更が行われ、受入企業・登録支援機関における実務対応が求められています:

  • 🔹市区町村への「協力確認書」提出が義務化
    → 地方公共団体が協力を確認できない場合、在留資格の許可が下りない可能性あり

  • 🔹支援計画に「地域共生施策との連携」が必須化
    → 自治体の多文化共生施策に沿った支援が求められます

  • 🔹定期届出の提出頻度が年1回に緩和(従来は四半期ごと)

  • 🔹随時届出の内容が簡素化・整理

これらにより、制度はより自治体との連携を重視し、持続可能な外国人受け入れへと進化しています。


■特定技能外国人の採用方法と流れ

企業が特定技能人材を確保する主な方法は以下の通りです:

方法①:紹介会社+登録支援機関を活用

有料職業紹介事業の許可を受けた紹介会社が、登録支援機関と連携して、書類準備・面接設定・在留資格申請・支援業務委託まで一括対応。初めての企業にも安心です。

※人材紹介は職業安定法に基づく許可が必要です。

方法②:海外から直接採用

海外の送り出し機関や教育機関と連携し、現地で面接・技能試験を実施して直接雇用する方法。現地ネットワークがある企業に有効です。

方法③:在留資格変更による採用

すでに日本に在留する技能実習修了者や留学生が、試験合格や実習修了により特定技能に切り替えるケース。日本語力や業務理解に強みがあります。

※技能実習2号修了者は、同一分野であれば試験免除での移行が可能です。


■登録支援機関の役割と「請負契約」の注意点

企業は、特定技能1号人材を雇用する際、14項目からなる支援計画の策定・実施が義務付けられています。自社での対応が難しい場合、登録支援機関に請負契約で業務委託することが可能です

📌 登録支援機関が請け負える主な業務例

  • 🔹入国前ガイダンスの実施

  • 🔹住居・生活インフラの確保支援

  • 🔹公的手続きの同行・支援

  • 🔹日本語学習の機会提供

  • 🔹定期的な面談・生活相談の実施

💡 重要:登録支援機関への請負委託は、「支援業務」に限られます。特定技能人材の“労働”を他社に請け負わせることは、派遣法・入管法違反に該当する可能性があり、厳しく禁止されています。


■大阪における採用実務の特徴

大阪府は、特定技能制度の受け入れが活発な地域です。以下のような特徴が見られます:

  • ・登録支援機関の選択肢が豊富で、支援内容も多様

  • ・中小企業が紹介会社と連携して採用を進めるケースが多数

  • ・地方自治体による多言語支援、医療・住居面の体制も充実

成功事例では、紹介会社と登録支援機関の連携を通じて制度を正しく運用し、地域社会との連携を築いている点が共通しています。


■採用成功のためのチェックリスト

✅ 2025年制度改正後の新ルールに対応できているか
✅ 登録支援機関との委託契約内容が適切か(支援業務に限られているか)
✅ 紹介会社の許可状況や契約内容(紹介料・返金条件等)を確認しているか
✅ 外国人労働者を他社に派遣・請負していないか(法令違反のリスク)
✅ 自治体への協力確認書を取得できる体制があるか


■まとめ

特定技能制度は、深刻な人手不足に直面する日本企業にとって、貴重な採用手段の一つです。

成功の鍵は、「制度の正確な理解」と「信頼できる登録支援機関・紹介会社の活用」です。最新の制度改正に対応し、支援体制・法令遵守を徹底することで、外国人材との持続的な関係構築を実現していきましょう。

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