2025.7.14

外国人(特定技能)労働者に必要な社会保険加入と求人票記載のポイント

外国人労働者(特に特定技能外国人)を採用する際は、日本人と同様に社会保険への加入が法律で義務づけられています。労働条件や待遇の明確化はもちろん、適切な情報提供と制度対応を行うことが、法令遵守と安定した受け入れの鍵を握ります。

今回の記事では、特定技能人材を採用する企業が知っておくべき社会保険制度の基礎知識と、求人票に記載すべき重要ポイントをわかりやすく解説します。


■ 外国人が加入すべき社会保険制度とは?

まずは、外国人労働者が対象となる社会保険の基本的な仕組みから押さえておきましょう。
一定の条件を満たす労働者には、以下の保険制度への加入が義務付けられています。

  • 🔹健康保険・介護保険:週の所定労働時間が20時間以上、かつ月額報酬が8.8万円以上である場合に適用。介護保険は40歳以上が対象です。

  • 🔹厚生年金保険:同様に一定の労働時間・収入を超えると加入対象となります。

  • 🔹雇用保険:週20時間以上勤務する労働者が対象です。

  • 🔹労災保険:雇用形態や労働時間に関わらず、すべての労働者に適用されます。

これらの保険に適切に加入していることは、外国人労働者にとっても企業にとっても安心・信頼につながる重要な要素です。


■ 求人票に記載すべき情報とは?

社会保険制度への加入義務をふまえたうえで、求人票には以下の内容を明確に記載する必要があります。

  • 🔹労働時間・収入の条件:週の勤務時間や月収のモデル例を明示する

  • 🔹加入保険の種類:「社会保険完備」などの表現に加えて、健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の4種類を具体的に明記

  • 🔹生活支援・福利厚生:社宅の有無や生活用品の提供、研修制度など

  • 🔹安心材料の提示:「外国人雇用の実績あり」「通訳スタッフ在籍」など、受け入れ体制を補足的に記載

制度名だけでは伝わりづらい部分については、補足説明を入れることで応募者の理解が深まります。


■ 採用後のフォローと脱退一時金について

特定技能外国人が就労後に帰国する場合、一定条件を満たすことで「脱退一時金」を受け取れる制度があります。これは、日本で支払った厚生年金保険料の一部が払い戻される仕組みです。

また、母国が日本と社会保障協定を結んでいる場合は、年金加入期間の通算や二重負担の回避といったメリットもあります。
これらの制度を求人票や面接時に伝えることで、企業の信頼性や透明性を高めることができます。


■ 求職者に伝わる求人票づくりのコツ

社会保険や労働条件の記載を正確に行うだけでなく、「わかりやすさ」「親しみやすさ」も意識した表現にすることで、外国人求職者への訴求力が高まります。

✅ わかりやすい表現を使う

「社会保険完備(健康・年金・雇用・労災)」のように、括弧や補足で制度の内容を簡潔に説明すると親切です。

✅ モデルケースの提示

月収例、勤務シフト例、住居支援内容などを具体的に記載することで、働くイメージが明確になります。

✅ 定着支援の取り組みを伝える

「外国人スタッフ在籍」「生活相談対応あり」「日本語学習支援あり」など、入社後のサポート体制を紹介しましょう。

✅ 採用の流れを示す

「応募 → 面接 → 採用決定 → 入社」のフローを明示しておくことで、不安を軽減できます。


■ 情報発信を求人票だけで完結させない

求人票だけでは伝えきれない企業の魅力や支援内容は、企業のWebサイトや採用ページ、SNSなどの別媒体で補完するのが理想的です。
たとえば、

  • 🔹外国人スタッフのインタビュー

  • 🔹社宅や職場の写真

  • 🔹生活支援制度の紹介記事

などを掲載することで、よりリアルな職場の雰囲気を伝えることができます。
特定技能人材を惹きつけるうえで、「働く前から安心できる情報発信」は欠かせません。

適切な情報提供や支援体制の整備は、応募者の安心感につながり、採用の成功率や定着率の向上にも直結します。


■ まとめ

外国人の特定技能人材を採用する際には、適切な社会保険への加入が義務であり、求人票にはその内容をわかりやすく明記する必要があります。
採用後の流れや生活支援、待遇面なども含めて丁寧に情報提供することで、外国人求職者にとって安心できる求人となり、結果的に採用の成功率や定着率の向上にもつながります。

制度の正確な理解と、相手目線での求人情報の設計を心がけることが、これからの外国人雇用において企業の信頼を築く大切な一歩です。

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