2025.6.23

外国人労働者の内定取り消しは違法?企業が知っておくべきポイントと対策

近年、特定技能などの在留資格で来日する外国人労働者が増加する中、企業による「内定取り消し」に関するトラブルも少なくありません。特に、人手不足を背景に外国人材を採用する企業にとって、法的リスクの理解は不可欠です。

本記事では、外国人労働者に対する内定取り消しが違法とされる可能性や、その対策について詳しく解説します。


■外国人労働者の「内定」とは?法的な位置づけ

日本では「内定」が成立すると、企業と求職者との間に労働契約の予約が成立したとみなされることがあります。このため、企業が一方的に内定を取り消す場合、正当な理由がなければ違法と判断されることもあります。
これは外国人労働者にも当然適用されるため、軽率な内定取り消しは、損害賠償請求など法的リスクを伴う恐れがあります。


■内定取り消しが違法と判断される例

以下のようなケースでは、違法とされる可能性が高まります:

  • 🔹明確な採用通知(書面・メール等)を出した後、企業の都合で取り消した

  • 🔹外国人労働者が在留資格の取得準備を進めていた

  • 🔹特定技能の支援にかかわる「登録支援機関」や紹介業者を通じて正式な手続きを進めていた

特に、特定技能制度では「登録支援機関」の支援を受けながら在留資格の申請が進むため、企業側の取り消しは制度全体に影響を与えることにもなりかねません。


■請負契約と雇用契約の違いにも注意

外国人材の受け入れには「請負契約」による就労も存在しますが、請負と直接雇用では労務管理の責任が異なります。請負であるにもかかわらず、実態が雇用に近い場合は「偽装請負」とみなされ、法的問題に発展する可能性もあります。

企業が外国人労働者と適切な関係を構築するには、契約形態の明確化が不可欠です。


■特定技能人材を紹介する企業が集中する大阪でも注目

大阪など外国人労働者の受け入れが活発なエリアでは、紹介会社や登録支援機関の利用が一般的になっています。信頼できる機関と連携し、手続きや法令順守を徹底することが、内定取り消しなどのトラブルを未然に防ぐ鍵となります。


■企業が取るべき予防策
  1. 採用決定の際は慎重に判断
     特に在留資格申請前に内定を出す場合は、社内での確認を十分に行いましょう。

  2. 登録支援機関との連携強化
     特定技能外国人の生活・業務支援を担う登録支援機関と連携し、法的に問題のない採用活動を行いましょう。

  3. 内定通知には条件を明示
     たとえば「在留資格の取得が認められた場合に限る」など、条件付きの内定としておくことで、リスクを軽減できます。

  4. 請負契約の誤用に注意
     雇用関係と請負関係を明確に区別し、実態に即した契約を結ぶようにしてください。


■まとめ

外国人労働者の内定取り消しは、企業の信用だけでなく、法的リスクも伴う重大な行為です。「請負」「登録支援機関」「特定技能紹介」など、関係する制度やプレイヤーを理解したうえで、適切な採用・契約管理を行いましょう。

外国人材の活用が今後ますます重要になる中で、企業には法令順守と誠実な対応が求められています。

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