2025.9.9

外国人派遣の“よくある失敗”と対策

海外人材の活用は進んでいますが、準備や伝達が曖昧だと初日から現場が停滞します。
今回の記事では、現場で起きやすい失敗を取り上げ、可動率を落とさないための手順を示します。事例は関西圏の企業を中心に整理しています。


■ 初日に回らない:受け入れ設計の不足

指導役が決まらないまま合流日を迎えると、報告先も作業の順序も不明確になります。到着直後から作業に入れるよう、事前に情報を一枚で共有します。

実務ポイント

  • 🔹 受け入れ設計書:担当者、OJTの流れ、評価基準、想定リスクを明記

  • 🔹 当日の導線:集合→更衣→作業→休憩→退勤を具体化

  • 🔹 視覚資料:写真・図で「いつ/どこで/何を/どの順で」を提示

  • 🔹 事前すり合わせ:「できる/要訓練/不可」を派遣元と共有


■ 「言葉が通じない」ではなく、指示が曖昧

抽象的な依頼や口頭だけの運用は誤解を生みます。短く、動詞で始め、量と期限を含めます。

指示の型

  • 例:「この棚を上から順に拭く。5分。終わったら報告。」

  • 確認ループ: 指示→復唱→着手→途中確認→完了報告を固定

  • 注意の手順: 事実→望ましい手順→次の行動。人格評価は避ける


■ 短期離職の主因:心理的孤立

待遇よりも、質問しづらさや不安が離職を早めます。着任初日から窓口を一本化し、短い対話で詰まりを解消します。

定着施策

  • 🔹 相談係(バディ)の指名:質問・相談先を一本化

  • 🔹 ミニ面談:最初の2週間は終業前5〜10分を連日実施

  • 🔹 多言語化:やさしい日本語、写真や図を使用して安全と手順を可視化


■ 丸投げで事故が起きる:パートナー選定

現場の動線や繁忙時間帯まで理解し、導入前の見学・試行を提案できるかを確認します。連絡体制は具体性が必要です。

▽ 確認項目

  • 現場特性の把握:動線・ピーク・品質基準

  • 事前すり合わせ:仕事内容、指導体制、試行の有無

  • 即応体制:一次窓口、休日対応、改善レポートの頻度

  • 情報共有:日報形式、指標の定義、改善サイクル


■ 職種別の要点(清掃・宿泊)

▹清掃
担当範囲、1日の件数、用具を採用段階から明示します。初週のOJT計画と写真入り手順書で品質基準を合わせます。転倒、暑熱・豪雨の注意は図や写真で掲示します。生活と通勤の情報(路線、寮、更衣、ロッカー)も事前共有します。

▹宿泊
募集時に夜勤可否と言語運用レベルを切り分けます。面接はチェックリストで評価し、入社後は生産性、顧客評価、クレーム率、研修出席を定点で追跡します。イベントと観光需要に連動させてシフトを設計します。


■ 基本チェック
  • 受け入れ設計書を共有

  • 初日の導線を明示

  • 写真と図で作業を提示

  • 合流前にスキルを擦り合わせ

  • 相談係を固定

  • 初週は短時間の面談を毎日実施

  • 安全・品質の掲示を多言語化


■ まとめ

受け入れ設計、指示の標準化、心理的安全の3点を整えると、初日から稼働します。
エコノハキャリアでは、外国人スタッフの導入時に、職場との事前すり合わせを重視し、働きやすい環境作りを支援しています。 ⇨まずはお気軽にご相談ください。

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