2025.6.16

外国人退職手続きの基本と支援のポイント

外国人材の受け入れ制度として注目されている「特定技能」と「技能実習制度」。この2つは在留資格制度として性質が異なりますが、いずれも退職時には企業側・登録支援機関側・本人側に明確な手続き義務が課されており、対応の遅れや不備が在留継続に影響するリスクもあります。

本記事では、技能実習生や特定技能人材が退職する場合の手続きをまとめ、登録支援機関として対応すべきポイントを整理します。


■技能実習生・特定技能人材が退職する主な理由とは?

外国人材が退職に至る理由はさまざまです。代表的な理由には以下が挙げられます。

  • ・家族の事情や帰国希望

  • ・契約期間満了(技能実習3年/5年、特定技能1号:5年)

  • ・職場環境や待遇面の不満

  • ・転職希望(※特定技能のみ)

 ↳ 特定技能は条件付きで転職が可能な一方、技能実習制度では原則転職ができないため、退職に伴う扱いが制度ごとに異なる点に注意が必要です。


■退職時に必要な手続き【企業・登録支援機関】

技能実習・特定技能のどちらにおいても、企業や支援機関には以下のような実務対応が求められます。

🔹雇用保険・社会保険の喪失手続き(共通)
  • ・雇用保険資格喪失届(ハローワーク)

  • ・離職票の交付(希望者のみ)

  • ・健康保険・厚生年金の喪失届(年金事務所)

  • ・源泉徴収票の発行と住民税精算

🔹在留資格に関する届出(入管提出)
  • ・「契約終了届」(雇用主または登録支援機関が14日以内に提出)

  • ・本人による「所属機関変更届出書」の提出(退職後14日以内)

🔹登録支援機関の支援内容(特定技能)

特定技能の場合、登録支援機関には退職後も一定の支援義務が残ります。

  • ・次の転職先(同一分野)への移行支援

  • ・生活サポートの継続(住居・口座・ライフライン)

  • ・脱退一時金(年金)の案内

  • ・帰国希望者への送還手続き支援


■技能実習制度と特定技能制度での退職対応の違い
比較項目 技能実習制度 特定技能制度
転職の可否 原則不可(例外あり) 条件付きで可能
支援者の役割 監理団体 登録支援機関
契約終了時の報告義務 あり(監理団体経由) あり(登録支援機関)
帰国支援 原則帰国 転職 or 帰国選択

■特定技能の人材紹介と登録支援機関の連携も重要に

近年では、採用から退職、再就職までを一貫して支援できる体制を持つ登録支援機関のニーズが高まっています。
特に、特定技能紹介や登録支援機能を兼ね備えた一体型サービスを活用することで、退職後の空白期間を最小限に抑えることができます。


■まとめ

🔹 技能実習・特定技能人材の退職時は、社会保険・税・入管への届出など複数の対応が必要です。
🔹 特定技能人材には、登録支援機関による退職後の支援継続が求められます。
🔹 転職希望者の支援には、登録支援機関と人材紹介会社の連携体制が重要です。
🔹 制度ごとの違いを正しく理解し、退職後の対応も含めた“受け入れ体制”を整えることが、外国人材の安定就労・定着に直結します。

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